ESSAYいざ、新天地へ文系・関東・四年制大学卒業見込み
/コミック志望
ハマるととことんやる、それが私という人間だ。アニメや漫画にハマったのは小学生の頃で、そこからはそのコンテンツを中心に自分の人生が動いていた。声優活動やe-Sportsの実況解説、YouTube活動など、自分の熱量は常に何かしらのコンテンツに注がれていた学生生活だったと思う。そんな私も大学4年を迎えようとしていた頃、それなりの結果や称賛を得たが故に、自分の今までの原動力だった好奇心や向上心が涸れ始めていることに気づいた。居心地のいい環境に満足し、自分が緩やかに腐っていくことに耐えられなかった私は、新しい環境に身を置くために就職活動を選んだ。始めた時期は2月の頭で、自分が目指すべきものを手掛けている企業を受けようという考えで私の就活は始まった。
しかし、いざ始めるとなるとどこを受けるか非常に悩んだ。アニメや漫画に携わりたいけれど絵を描くことは得意ではないし文才もない。どうしたものかと企業を探している時に見つけたのが講談社だった。クリエイターの傍で作品を手掛ける手伝いができるし、その熱量を身近で感じ続けられる職種に「これしかない!」と思った私はその日のうちにESを書き上げ提出した。面接ではとにかく自分のことを知ってもらおうという気持ちでアピールし続け、最終面接まで何とかこぎつけた。しかしそこで放たれた一言は私を絶望の淵へと追いやった。
「僕が思うにだけど、君は漫画編集に向いていないと思うよ」
正直この後は何を話したかあまり覚えていない。頭が真っ白なまま健康診断を受けた後、行きつけのスナックで「また一からやり直しか~」とハイボールを飲みながらうなだれていた。数日後、結果は内定だった。
なんで受かったのかわからないというのが正直な感想だが、きっと私が自覚している以外の素養で採ってもらえたのだと思う。だが私は諦めない。多くの人の記憶に残る作品が生まれる瞬間を、担当編集として目にするまでは。