WORKプロジェクトストーリー

−ものがたりができるまで−

Project もったいないばあさん

効果的に届け、マネタイズし、
知的財産として活用する——。
ひとつのWebメディアを巡る
ものがたりを、
編集長自らナビゲート。

INTRODUCTION誰かに話したくなる
世界の話。
知ることが社会貢献に

世界中の100以上のメディアから厳選した記事を届ける「Courrier Japon」は、流れゆくニュースサイトではなく、面白くてためになる「気づき」を蓄積したメディアです。記事のピックアップには、世界各地で起きていることの裏側にあるストーリーを重要視。国際政治やビジネス、カルチャーから、SDGsやLGBTQ、ブラック・ライヴス・マターといったの社会問題まで、多様な価値観を元に取り上げています。
気づくことから、考え、誰かと議論し、行動を起こす......そんなきっかけを与える存在でありたい。興味を持った記事へのワンクリックは、世の中を変える力になるから——。
2020年5月に、私たちは購読料の一部を「国境なき医師団」へ寄付しました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、「メディアができることは何か?」を考えた結果です。知識は社会を支援すること、社会を変える道筋をつくることにつながると信じています。

案内人

Courrier Japon編集長
(1998年入社)

1.メディアができるまで

知的好奇心に応える
忖度なしの記事づくり

KAMIYA’s eye

編集スタッフは、フリーランスを含め16人。スペイン、ドイツ、アメリカ在住のスタッフもいます。記事制作の流れはまず、編集スタッフが海外メディアの記事を読み、面白かったものを企画として提案。そこからさらに厳選した記事を翻訳者に訳してもらい、より読みやすく、読者に響くよう整えて公開します。
独自の取材記事では、世界的な権威だろうがノーベル賞受賞者だろうが「面白い!」と思える企画のため、遠慮も忖度もなしに取材依頼をします。そうして、台湾のデジタル担当大臣オードリー・タン氏の対談企画なども実現。ときにはTwitterのDMからアポイントを取り付けることも。そんなフットワークの軽さも、私たちの武器のひとつです。

フランスの経済学者、ダニエル・コーエン氏へのリモート取材風景。こうして海を越えた先にいる知識人たちの、多様な意見をインタビュー。
 

2016〜2017年に行った、リモートワークの先がけともいえる「移動編集部」。編集部員が日本各地に期間限定で滞在しながら業務を行い、地域の魅力も発信。新しい働き方を編集部自らが実践した。

2.ユーザーの
満足度を上げる

「もっと読みやすく」
常に問いかけ進化中

KAMIYA’s eye

Webメディアでは、読みやすさや、さまざまな記事との新たな出会いを演出することも重要です。1万字を超える長文記事は数回に分ける、よく検索されたり、時事性の高いキーワードをタグにしてトップページに表示する、記事をストックできる保存機能を付けるといった仕様の工夫を、日々模索。地味ですが、会員の満足度に直結する、大切な仕事です。
そのほか会員の向学心に応えるイベントも企画。講演会やワークショップ、アートや読者同士の交流会などの運営にも力を注いでいます(2020年度はオンラインが中心)。

過去には、海外視察ツアーもコーディネート。このときは、全米有数の起業都市であるポートランドで現地の起業家と交流できるスタディツアーへ。

編集とテクノロジー、
両面の素養で質を高める

Courrier Japonチーム(2003年入社)

ユーザーがどんなプロセスで会員になり、どんな動きでサイト内を回遊するのか……カスタマージャーニー(顧客の旅)を見える化し、サービスの向上へ。そのために、会社の海外研修制度を活用。Web解析ソフトを開発する企業や海外メディアへの1ヵ月半の視察を経て学んだテクノロジーを、今に生かしています。

知的好奇心の強い会員同士が、意見交換できる機会も提供。読むメディアから、語れるコミュニティへ。

3.表現を考える

日本語の見方が
変わるほど
言葉へセンシティブに

KAMIYA’s eye

海外メディアを読むことは、ひとつの物事を異なる視点から、多角的に見られることにつながります。それと同時に、言葉が持つ多様な解釈への気づきも。原文を日本語に直訳すると、差別的であったり不快に感じられたり、不適切な表現になってしまう場合もあるのです。
そこで、頼りにしているのが校閲者の存在。言葉は単語の「点」ではなく、文脈として「線」や「面」で判断しなくてはなりません。それを適切に行うのが、校閲の仕事。講談社は特に、信頼性ある記事のために校閲の過程を大切にしています。

校閲者がチェックした後の原稿には、細かな指摘がびっしり。それに返事をするように、編集者が言葉を吟味していく。

言葉選びに
マニュアルなし。
常に調べ、考える

校閲第二部(2012年入社)

校閲するときは辞書などを使いますが、辞書に書かれた内容が全てではありません。言葉の背景にある歴史、時事的な要素、書き手の感情、日本と海外との温度差などで、意味合いが変化するからです。言葉はそんな生き物のようなもの。知っている言葉でもその都度調べ、考えることを大切にしています。

資料となる辞書類が詰まった校閲部の書棚。例えば、女性のみを指す「未亡人」は差別的な表現となるのかなど、普段何気なく使っている言葉も資料を元に熟考する。

4.テクノロジーで
収入を得る

ブランド力を生かした
運用型広告で収益化

KAMIYA’s eye

メディアを継続するためには、収益を上げなければなりません。「Courrier Japon」の場合は、ひとつは購読料、そしてもうひとつは広告収入です。そこで活躍してくれるのが、ビジネス戦略チーム。代理店に対し、メディアのブランド力とテクノロジーを掛け合わせた広告の提案・セールスから、実際に広告を貼る作業、配信・効果検証までを一貫して担当する、運用型広告のプロです。編集者とは別の視点で市場を分析し、ビジネスのニーズに応えるメディアづくり、届け方のヒントを与えてくれます。

PVや収益などの数値がグラフ化される、運用型広告の分析レポート。編集部とも共有し、今後の戦略を練る。

クリエイティブを
ビジネスへ変換する
「頭」になる

コミュニケーション事業第一部/
デジタルソリューション部
(2018年入社)

「Courrier Japon」は、SDGsやジェンダーの社会問題を取り上げるなど、魅力的な記事で広告主を呼べるメディアです。いいコンテンツだからこそ発信して終わりではなく、オンラインでの流通を僕らが支え、効果的なビジネスになるよう頭をひねります。編集者の頑張りに対して誠実に応えられるのが運用型広告であり、デジタル戦略の仕事です。

講談社では、記事閲覧データをもとに、AIが読者のオタク属性を解析するツール「OTAKAD(オタカド)」を開発。消費行動に合わせた広告配信とメディアの個性を掛け合わせた、タイアップ記事のセールスも行う。

5.財産を活用する

世界中の教養人の声を
Webだけでなく
紙でも世の中へ

KAMIYA’s eye

私たちが磨き上げ、積み上げてきたのは、多種多様な記事コンテンツをはじめ、海外での人脈や知名度、翻訳技術、そして大物相手にも恐れをなさないフィジカルの強さ。
今、これらの財産を生かし、新書化する構想が動き出しました。例えば、世界中の教養人たちのインタビュー集や、世界から見た日本がテーマの本など。短期的な目線で考えがちな「Webメディア」に、「紙」という長期的な目線が加わったことで、これまで以上に表現の可能性が広がったように感じています。

新書化できそうなコンテンツについて、学芸書の担当編集者とミーティング。まだ検討段階ではあるものの、来年度の目玉になりそうな企画が続々。

社内に眠る宝の山から
唯一無二の一冊を

学芸部(1995年入社)

今回、新書とのコラボが動き出したのは、コロナ禍の影響ですね。私自身、世界の知性が語る言葉をこれほど聞いてみたいと思ったことはありませんでした。書き下ろしの新書だとアプローチから刊行までどうしても時間がかかりますが、「Courrier Japon」にはすでにパイプがある。記事を読みながら宝の山に見えました(笑)。そのネットワークとスピード感は魅力的です。

政治・社会・経済から哲学・思想・芸術まで、読者が知りたいテーマを、わかりやすく、かつ深く学べる1冊にした講談社「現代新書」シリーズを手がける。まさに「おもしろくて、ためになる」、教養のための本。

※社員の所属部署・肩書きは、2020年8月時点のものです。