『マガジンポケット』発の大人気コミック
『WIND BREAKER』(著:にいさとる)
担当者ダブル対談
連載開始から読者の圧倒的支持を集め、
TVアニメも大反響を呼んだ
『WIND BREAKER』――
作品の誕生からこの先の未来まで、
担当者4人が語り尽くす!
写真:大坪尚人(講談社写真映像部)
STORY
偏差値は最底辺、喧嘩は最強。超不良校として名高い学校・風鈴高校。 この春、そんな風鈴のトップを目指して街にやってきた風鈴高校1年生・桜遥は、 風鈴高校が“防風鈴”(ボウフウリン)と名付けられた街を守る集団となっていたことを知る。
そして桜は、風鈴の一員として街を守るため戦い始めることに―――!
連載媒体
2015年にリリースされた講談社初のマンガアプリ『マガジンポケット(通称・マガポケ)』。
「週刊少年マガジン」&「別冊少年マガジン」の公式マンガアプリとして、2,300万DLを突破!
マガポケはこちら
ANIMATION
監督:赤井俊文
制作:CloverWorks
Season 1が、2024年4月よりMBS/TBS系28局にて全国同時放送されて人気を集める。ABEMAほか各配信プラットフォームでも配信中。「WIND BREAKER Season 2」が2025年放送決定!
詳細はこちら
連載媒体
2015年にリリースされた講談社初のマンガアプリ『マガジンポケット(通称・マガポケ)』。
「週刊少年マガジン」&「別冊少年マガジン」の公式マンガアプリとして、1,500万DLを突破!
ANIMATION
監督:赤井俊文・制作:CloverWorks。Season 1が、2024年4月よりMBS/TBS系28局にて全国同時放送されて人気を集める。ABEMAほか各配信プラットフォームでも配信中。「WIND BREAKER Season 2」が2025年放送決定!
メンバープロフィール
Interview01編集×営業担当者対談
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平岡 雄大HIRAOKA YUTA編集 | コミック2011年入社
週刊少年マガジン編集部
「週刊少年マガジン」「別冊少年マガジン」「マガジンポケット」の企画、編集を中心としたコンテンツの制作業務。
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米野 開人YONENO KAITO国内・国際ビジネス戦略 | マーケティング・プロモーション2015年入社
コミック営業部
おもに少年漫画・青年漫画・ライトノベル・絵本・児童書・幼児誌等の編集部から刊行されるコンテンツの販売と宣伝に関する業務。
Interview02アニメ×グッズ担当者対談
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大和 雅恵YAMATO MASAE国内・国際ライツ | 映像化2016年入社
アニメ・ゲーム事業部
講談社が管理するコンテンツのアニメ化・ゲーム化・イベント化等の際に、窓口として契約交渉や版権の管理、製作委員会への出資や運営を行う。
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松浦 希MATSUURA NOZOMI国内・国際ライツ | IPビジネス(イベント・グッズ)2018年入社
ライツMD部
講談社が管理するコンテンツのグッズ化・イベント化およびそれに関連する業務に際して、窓口として営業から契約交渉や版権管理・監修等を行う。
※対談収録(2024年7月)時点。
プロジェクト
ストーリー
INTERVIEW 01
編集×営業担当者対談
『WIND BREAKER』はこうして生まれた
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まず、平岡さんのお仕事内容から教えてください。漫画編集者というと、漫画家さんの隣で、一緒に作品を作るというイメージがあるのですが。
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平岡:
漫画を描けるのは作家さんだけなので、一緒に作るというのはおこがましいのですが……作品によって、編集者がどこまでの役割を受け持つかは結構違いますね。
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『WIND BREAKER』ではどのような役割ですか?
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平岡:
わりとオーソドックスなものだと思います。作家さんとお話の展開を一緒に話し合って決めて、ネームを出していただく。そのネームに対してもう少し良くなるんじゃないかと思う時は提案したりもう一度話し合いながらクオリティをだんだん上げていく――というスタイルですね。
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米野さんはコミックスの販売と宣伝を担当する部署にいらして、特に「週刊少年マガジン」や「マガジンポケット」の連載作品を担当しているということですよね。
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米野:
そうです。『WIND BREAKER』を含めて「週刊少年マガジン」を2023年の6月から担当しています。
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担当になる前から『WIND BREAKER』には注目していたのでしょうか。
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米野:
はい。2021年の1巻発売の時には既に書店さんから「たくさん仕入れたい」と言われる状態になっていました。僕も一読して面白いと思いましたし、この面白さは「売り」につながる面白さだなと思いました。
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「売り」につながるというのはどんなところで判断するのですか?
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米野:
「ヤンキー」かつ「素敵な男の子がたくさん出てくる」という構造が、当時大ヒットしていた『東京卍リベンジャーズ』と共通していたのは大きかったですね。もちろん構造が似ているだけの単なる類似作品ではヒットは続きません。でも『WIND BREAKER』は2巻以降もどんどん重版がかかって、軽々とそこを突破していった。やはりすごい作品だなと思いました。
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担当編集者として、平岡さんもそうした構造を意識していたのでしょうか。
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平岡:
ここでいう構造は要は企画のことだと思うのですが、作家さんの持っている才能の素晴らしいところが、たまたまその構造に向いていた、ということだと思います。売れているからその構造の漫画をやるのではなくて、作家さんがその能力を一番発揮できる構造を考えて選んだ、という感覚ですね。にい(さとる)先生の場合は、キャラクターを描く才能が素晴らしいので、そこにフォーカスしよう、と。『東京卍リベンジャーズ』と『WIND BREAKER』は作品の中身は全然違います。ただ、両者ともに素敵なキャラクターがたくさんいるという共通の構造を持っています。そして、にい先生はそのニーズを満たし得る才能がある作家さんだと思っていました。「ガワ」は当然意識しますが、中身がないとどうにもならないので。
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にい先生にはどのような提案をしたのでしょうか。
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平岡:
前作(『男子バド部に女子が紛れてる シークレットバドミントンクラブ』)を担当していた頃から、かっこいい男の子を描くのが上手な作家さんだなと思っていたので、新作を作るとなった時の打ち合わせでまずそれをお伝えしたら、「確かに女の子より男の子を描くのが好きかもしれません」とおっしゃって。ではかっこいい男の子をうまく生かせるジャンルやお話の構造を考えましょう、というところからスタートしました。「男の子のいろんなかっこよさを出す」というのが『WIND BREAKER』のコンセプトなので、常に「どうやったらこの男の子のかっこよさが出せるだろうか?」というところに立ち返るようにしています。
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作品作りにおいて、ここまで特に大変だったのはどんなことですか?
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平岡:
やっぱり連載が始まる前が一番大変でしたね。前の連載から『WIND BREAKER』の第1話ができるまでに2年くらいかかりました。設定は決まっていたんですが、第1話のネームがなかなかできなくて。本当に試行錯誤しながらたくさんのネームを描いていただいたんですが、「たくさんの人に愛される、売れる作品になるか」という基準に足りていないという状態が続いていました。編集者は「売れるほど面白いか」をジャッジするところに責任を持っています。だから先生にずっと頑張っていただいている中で僕としても非常に苦しかったですが、妥協してGOを出すことはしませんでした。でも、そうしているうちに作家さんの中でいろんなものが嚙み合って、今の第1話とほぼかわらないネームが「ボン!」と突然出てきたんです。あれは未だに編集者人生で一番感動した瞬間ですね。なかなか上手くいかない時からの触れ幅が大きかったので。
セリフもオリジナル! 全19種類のボイス特典を発案
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米野さんは、コミックスを多く売るために企画を立てて実行するのが主なお仕事ですよね。
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米野:
そうですね。アニメ化が一番のチャンスだと思っていたので、その時は特にいろいろな販売施策をやりました。たとえば今、書店さんでも持ち帰り用のビニール袋や紙袋が有料になっていますよね。読者の方がコミックスを買った時に袋が欲しくなるのでは?と思い、オリジナルショッパーを作って、コミックスをたくさん注文してくださった書店さんで配布していただきました。一番苦労したのは、コミックスにランダムでボイス特典をつけたことですかね。
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カードについているQRコードを読み込むと、声優さんの声が聴けるのですね。
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米野:
はい。2021年に、プロモーションとして、ボイス付きのPVを作って配信したことがあるんですが、読者の方からいい反応をいただきました。アニメのキャストも当時のPVと同じ声優さんに決まったと聞いたので、声優さんのファンの方にコミックスを手に取っていただける企画を、と考えました。ボイス特典は全16種類、アニメイトさん限定を含めると19種類になりました。
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平岡さんはそれを聞いてどう思いましたか?
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平岡:
すごいな、大変そうだなと思いました(笑)。
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米野:
大変でしたけど、その分効果はありました。発売後すぐに話題になって、あのキャラが欲しいとか、実施書店はどこですかなどのお問い合わせもありました。SNS上のコミュニティもにぎわっていたのがすごく嬉しかったですね。それと、僕も声の収録に立ち会わせていただいたんですが、声優の皆さんの情熱をすごく感じて。声優さんにとって、ただでさえ大変なアニメの本編にプラスしてやっていただく仕事なわけです。それでも書店特典のためにやります!と、お一人お一人、本当に丁寧に「これでいいですか?」と確認しながら吹き込んでくださって……アニメの制作サイドの方たちの熱量を感じられたことが新鮮でした。
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平岡:
声優の皆様にすごい大きな声で「OKです!」って言っていたよね(笑)。アニメのアフレコ現場に颯爽と現れて、「こんな感じでお願いします」って声優の皆様に指示も出していて。企画に対してちゃんと理想があって、妥協しない姿勢がすごいなと。
米野:
(笑)。セリフも、今回は原作中に出てこないものをオリジナルで考えたんです。もちろん僕だけじゃなくて、営業部のほかの人たちも力を貸してくれました。
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編集部やアニメサイドではなくて、営業部の皆さんで考えたんですね!
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米野:
そうですね。先ほど言ったように2021年に声優さん出演PVでのプロモーションは既にやっているので、今回のボイス特典は、アニメをただ切り取っただけのプロモーションではなく、オリジナリティが必要だなと考えました。
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作家さんから平岡さんに、こうした宣伝物に関しての要望があがってくることもあるのですか?
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平岡:
『WIND BREAKER』に関しては、作家さんから特に何か言われることはないですね。「こういうことをやります」と僕から報告するくらいです。
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2021年には渋谷駅のウォールジャックなどのキャンペーンをしたこともありましたね。
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平岡:
あれはSHIBUYA TSUTAYAさんから、最新刊の発売に合わせて限定のアクリルスタンドを作って大々的に宣伝するという企画をご提案いただいて。その効果を最大化するために、渋谷ジャックをしよう、と。
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米野:
SHIBUYA TSUTAYAさんには特典と店内の展開をやっていただいて、我々は駅貼り広告などでそれをブーストする役目ですね。
それぞれプロとして、やれることは全部やる
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そうやってどんどん作品が売れて広がっていくのを、担当編集者としてはどう見ていたのでしょう。プレッシャーは感じましたか?
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平岡:
アニメが決まってからの苦しさはやっぱりありましたね。いろんな人たちがこの作品のために汗をかいてくださっているので、その期待を裏切らないようにしたい、と。やっぱり作品自体が面白くあり続けなければその後も順調に売れていくということはあり得ないので、作品を面白くし続けることが僕ら編集者の優先順位としては断トツです。一方、どう売るかというノウハウは営業部にあるので、そこはお任せしています。「売る」というゴールは同じなので、提案をいただく内容も「なるほど!」とか、「わかる!」と思いながらいつも聞いています。
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平岡さんは、米野さんのお仕事ぶりをどう見ていますか?
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平岡:
ものすごい数をやっているな、と思いますね。先ほどのボイス特典もそうですけど、物量がえげつないんですよ。それだけやってもらえるというのはありがたい以外の何物でもないです。「週刊少年マガジン」も「マガジンポケット」も非常に連載作品が多いので、『WIND BREAKER』以外の作品でも作らなきゃいけない宣伝物が大量にある中で、正直、「ちょっとめんどくさいな」とか思うようなこともあると思うんですが(笑)、すべてにおいて手抜きをせず、ちゃんとやりきってくれるのが本当にありがたいです。
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米野さん、そう言われてみていかがですか?
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米野:
いやもう……ありがとうございます。ちょっと(平岡さんを)直視できないですね(笑)。
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平岡:
普段は「お互いのやることをちゃんとやろうぜ。俺らプロだし」みたいな感じで、こんなふうに面と向かってお礼は言わないので、僕も少し恥ずかしいです(笑)。ただ、やっぱり「めんどくさい」の先にしか成功はないと思っていて。僕自身も編集者としての土俵である作品作りに対しては絶対にめんどくさい部分も妥協せずにやらなければいけないと思っています。お互い、売ることに対して、やれることを全部やる。いい意味でちゃんと役割分担できていると思います。
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米野さんは、平岡さんのお仕事ぶりを見ていてどう感じますか?
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米野:
まず作品の内容と作品作りの仕方が仕事を物語っているので、編集者としてすごく尊敬しています。『WIND BREAKER』のプロジェクトに関しては、監修してもらわないといけない宣伝物がものすごく多いんです。なので編集部にもたくさんお願いするんですが、その戻しが、ものすごく早い。僕たちからすると、非常にやりやすくてありがたいです。
平岡:
ちなみに監修は僕じゃなくて僕の後輩がやっているので、僕の手柄ではないです(笑)。
米野:
(笑)。戻りが早いということは、普段から作家さんとの信頼関係がすごく固く築かれているんだな、と思いました。
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なるほど、すぐにOKが出るということは、作家さんが編集部に任せているから、ということですね。
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平岡:
そうですね。基本的には任せていただいています。そこは作家さんが大きくパワーを使うべき領域ではないと僕は思っていて。だから作家さんとは事前に編集者を含めた講談社が担うべき領域のことは話しておくようにしています。まず前提として、「僕らは作品であると同時に商品を作っていて、売れないと関わっている人たちは誰も幸せになることが出来ません」ということを作家さんにお伝えする。そのうえで、プロとしての役割分担をどうしましょうか、と。「宣伝など売るためにやるべき領域はノウハウもあって物量もこなせるこちら側に任せてほしいし、責任も担います。その分、作家さんのパワーは全て作品を作ることに当てていただきたいです」と話します。作品自体が素晴らしいものにならなければいくら宣伝をやっても意味がありません。にい先生とはその点においてしっかりと役割分担をさせていただけているかなと思います。やっぱり、作品作りにおいて宣伝の力で一発逆転みたいなことは基本あり得ないんですよね。クオリティを積み上げるしかないんだという話も作家さんとは連載前にさせていただくようにしています。
誰かを幸せにできる仕事&心の底から楽しいと思える仕事
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今、アニメも第1期が大好評で終わって、米野さんのお立場からすると、既に売れているものをさらに売るという時期にまた入っているかと思うのですが、今後の戦略として考えていることはありますか?
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米野:
今後やるとしたら、作品の「見せ方」を変えられればな、と。例えばキャラクターがかっこいいからキャラの絵を前面に出す、ということではなくて、それをイメージしたほかのモチーフのものを出す、とかですね。
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なるほど、キャラクターを前面に出していくのとは違ったアプローチになってくるわけですね。大ヒットコミックが生まれると、お二人のいる編集部と営業部の連携もそうですが、いろいろな部署との連携が必須になると思います。そこに難しさはないですか?
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米野:
僕はそんなに難しいとは思っていないです。ただ、同じ社内とはいえ各部署にはそれぞれの事情がありますよね。アニメ制作サイドの事情、書店さんの事情、作家さんの事情もある。そこをうまく想像できないと、ちょっと難しくなっちゃうかなとは思います。
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「想像」してみることが必要なんですね。平岡さんは、先ほど売ることに関しては「お任せします」と言っていましたが。
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平岡:
お任せしています(笑)。営業部もそうですが、ライツなどほかの部署のメンバーもみんな頼もしい人たちなので、特に難しいことはないですね。チームなので、目指しているところは同じ、というか。
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そう言い切れるのは素敵ですね。最後に、それぞれのお仕事の中で特に大切にしていることや、やりがいを感じていることを教えてください。
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米野:
ちょっと言うのが恥ずかしいんですが……販売・宣伝の仕事は誰かを幸せにできる仕事だと思っています。特に今担当している少年コミックは、10代の多感な時に読む方が多いので、心に大きな影響を与えるものだと思っています。人生の宝物になるような作品を届けていきたいと思います。
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平岡:
どの仕事でも変わらないと思うんですけど、大切にしているのは「誠実にやる」ことです。いろんな人と関わる仕事なので、特に大事かなと。それと、僕はこの仕事を13年やっていますが、飽きたことがないんですよね。心の底から「楽しい仕事だ」と言えます。新人作家さんがスター作家になっていく姿を見られるのも嬉しいですし、作品によってやることが全然違うのも楽しい。ひたすらワクワクすることを考えてやり続けられる仕事です。
INTERVIEW 02
アニメ×グッズ担当者対談
連載開始直後からアニメ化&商品化のオファーが殺到
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それぞれ、どんなお仕事をしているか教えてください。大和さんからお願いします。
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大和:
二人ともライツ・メディアビジネス本部なのですが、ライツ全体としては講談社の小説や漫画などの書籍を、別の形で二次利用する、という仕事です。私はその中のアニメ・ゲーム事業部で、アニメの企画・制作に関わる業務を担当しています。アニメ化の企画営業をしたり、企画提案をいただいた時の条件交渉、制作が始まってからは制作スタジオさんなど社外とのやりとりの窓口として立たせていただいています。
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社外との窓口になることが多いのでしょうか。
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大和:
もちろん社内でも編集部や関連部署とやりとりをして、皆さんからの要望を集約して社内外調整をしていきます。
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松浦さんのお仕事はライツの中のどの部分になりますか?
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松浦:
漫画やアニメをもとにした商品化の窓口ですね。あとは、原画展などのイベントの企画・運営も担当します。原作イラストをもとにグッズ化することも、アニメ化された場合のアニメイラストをもとにグッズ化することもあります。
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『WIND BREAKER』のアニメ化は、いつ頃、どんなふうに動き出したのでしょう。
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大和:
『WIND BREAKER』は2021年に連載が始まってすぐ、いろいろなところからアニメ化の企画をいただいて。今回は早い順ではなくて、コンペ形式でした。いただいたどの企画も、制作会社、監督、メインスタッフなどの情報をたくさん揃えてくださっていたので、それを見ながら、編集部と『WIND BREAKER』に一番合う座組を相談して決定する流れになりました。
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松浦さんは、この作品はグッズが売れそうだな、という感触はどの時点で持ちましたか?
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松浦:
連載開始直後からグッズを作りたいというお問い合わせがたくさん来たんですよ。皆様よくお気づきで、という感じでしたね(笑)。グッズを作ってくださる会社の皆さんは、ものすごくそういった感度が高いんですが、本当に連載開始すぐにここまでたくさんの会社様から問い合わせが来る作品はなかなかありません。私自身も読んですぐに、『WIND BREAKER』のグッズが欲しいな、と思えたのも売れそうだと思った要因の一つですね。大和さんからどういう会社さんたちとアニメ化するかを聞いた時も、これはすごいアニメになりそうだなと思いました。
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大和:
企画を進めるにあたって、会社に「これくらいの収支を目標として頑張ります」というビジネスモデルを提出するんですが、商品化でどのくらいの金額が見込めるかを松浦さんに確認する必要があって。その時、かなり大きい数字を出してくださったことがとても印象的でした。
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松浦:
大和さんはプロデューサーなので、そういう数字を集める必要があるんですよね。「自信あります! 大きくやります!」と話したのを覚えています。でも全然そんなレベルじゃなかったというか。
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大和:
いい意味で、それをずっと超える数字になりましたよね。
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松浦さんはご自分もグッズを欲しいと思ったことも大きかったということですが、そう思えることと売れることはどうつながるのでしょうか。
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松浦:
グッズが売れるかどうかは、作品の面白さは勿論のこと、読者が各キャラクターにどれだけ深くハマれるかが重要だと考えています。『WIND BREAKER』は登場人物が全員魅力的で、読んだ人それぞれに好きなキャラクターができるだろうと思いました。私は梅宮さんが特に好きなんですが(笑)、1巻の段階で一緒に担当している部員それぞれに好きなキャラクターがしっかりありましたね。
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大和:
魅力的なキャラクターが多いというのは、こういったビジネスにおいては強みですよね。あともう、とにかくにいさとる先生の絵が本当にかっこよくて。ビジュアルから興味を持った方が作品も読んでくだされば、面白いことは絶対伝わる。様々な魅力がある作品なので、これは年齢を問わず楽しめるものになると思いました。
お互いのプロ意識がぶつかったら、理由も含めて話し合いをする
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この絵でこのお話で、さらに読者もたくさんついていると、アニメへの期待も相当高まった状態でのスタートでしたよね。
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大和:
そうなんです。このかっこいいキャラクターたちを、読者の皆さんが期待しているまま……それ以上の形でアニメ化しなければということはアニメに関わる人たち全員が考えていたと思います。でも今回作ってくださった(制作スタジオの)CloverWorksさんは数々のヒット作を作り出した実績があるので、絶対に期待以上のものを作り出してくださると思い、お願いすることが決まってからは、ただただ完成を心待ちにしていました。
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最初にどこと組むか、という「座組」を考えるところが重要なお仕事なのですね。実際にアニメの制作を進めていく中ではご苦労もあったと思うのですが、特に大変だったことは何ですか?
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大和:
この作品に限らずなのですが、いろいろなプロの方たちが集まって作るものなので、原作側の主張とアニメ側の主張が食い違うことも当然あります。今回もお互いのプロ意識がぶつかったタイミングはありましたね。そういう時に間に立ってきちんと調整するのが私の仕事なんですが、なかなかうまくできなかったこともあったなと。
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間に立って調整するのはとても難しいと思いますが、コツのようなものはあるのでしょうか。
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大和:
いやあ……難しいです(笑)。作品や作家さんにもよりますので一概には言えません……。今回はにいさとる先生がすごくアニメに対して理解してくださる方で、アニメのクリエイターの方たちを尊重して、寄り添ってくださったのがありがたかったです。制作サイドから「クリエイターからこういう理由で、こうしたい、という話がきています」とお伝えすると、柔軟にご対応くださいます。逆に原作サイドのほうからこれは守ってほしいということがあれば、それはアニメサイドにもお伝えします。理由も含めてお伝えしたうえで、どういう形に着地させるのが良いのかをみんなで議論していきました。
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実際、出来上がったものを観てどう思いましたか?
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大和:
第1話から、特にケンカシーンのアクションが本当にかっこよくて。CloverWorksさんがアクションシーンに力を入れてくださっているのは最初からわかっていたつもりなのですが予想を上回る素晴らしい映像で、しかも回を重ねるごとにどんどん良いものを作りあげてくださいました。特に覚えているのが、第9話の梅宮と兎耳山(丁子)が対立するシーン。原作でも感動的なシーンだったんですけど、アニメでアクションがついて、音楽や声優さんの声が加わって、さらにオリジナルの演出も追加され……観られて感無量でした。
とにかくメール! 地道で根気のいる仕事
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松浦さんは、今までいろいろな企画を手掛けてこられたと思いますが、特に印象的だったものを教えてください。
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松浦:
バーガーキングさんとのタイアップです。「アニメ放送開始すぐに実施しましょう!」と、放送のかなり前から準備をした企画です。渋谷センター街店はお店まるごと『WIND BREAKER』の装飾をしていただき、コラボ店舗「バーガーキング® 東風商店街店」が期間限定で誕生。お店の装飾チェックは当日の朝4時半開始と大変早かったのですが、バーガーキングさんが非常に作品愛をもって取り組んでくださり、「ボウフウリン」のメンバーが本当に働いているような眠気も吹き飛ぶ素敵なお店が出来上がりました。
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彼らが働いているようなお店ですか! とっても楽しそうです。では、ここまでのお仕事を振り返って、特に大変だったのはどんなことですか?
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松浦:
事前に仕事量を予測できないのが一番大変ですね。なのでずっと大変といえば大変です。商品化はありがたいことに、売れたらいくつでもいつまでもオファーをいただけます。『WIND BREAKER』は当初からたくさんの商品化希望があると予想はしていましたが、予想以上にすごい数が来た!という感じがずっと続いていて。グッズ用のイラスト素材を発注していつまでに間に合わせなければいけないとか、監修をいつまでに終わらせなければいけないとか、時間的なものが一番大変でしたし、今も大変です(笑)。
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今も続いているんですね。イラストの素材はどちらに発注するのですか?
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松浦:
例えば、この一番くじはアニメのグッズなので、CloverWorksさんに描きおろしのイラストを発注しました。でも当然皆さんアニメの制作でお忙しいので、その合間をぬって描いていただくことになる。商品の発売は1年後だとしても、この日までに素材がないと入稿できないですとか、監修はここまでに終わらせないと生産が間に合わないですとか……。そこにコラボカフェやポップアップストアの予定も入ってきます。各アイテムや施策の時期がバッティングしないよう一番効果的なタイミングを考えつつ、パズルのようにスケジュールを組み立てるのが難しいですね。1つ遅れると全てが崩れるので、そのプレッシャーをずっと感じています。
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それは大変そうですね……実際に商品を作ったり現地でイベントを運営するのはそれぞれ別の会社だったりするわけですよね。
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松浦:
お付き合いする相手はとても多いですね。毎日メールの量がすごいです。
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大和:
我々は、とにかくメールし続ける仕事ですよね。
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松浦:
メールを返し、電卓を叩いて、あとは文字校、文字校、色校、色校!ですね(笑)。何百何千という商品のうちの1つの商品も、ファンとっては大事な1つだけのものなんですよね。なので監修する際には、ミスなく1つ1つをベストに仕上げていかなければならない。華やかな仕事だと思われることもあるのですが、毎日毎日、権利表記やキャラクターの名前を確認し続けるような、地道で根気のいる仕事だと思います。
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公式のグッズなのでミスは許されないですよね。
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松浦:
責任感はすごくありますね。商品は、著者をはじめ編集部や大和さんをはじめとしたアニメチームが作ってきた作品の「宣伝」という側面もあります。皆さんの生活動線の中にグッズが置かれていて、このかっこいいキャラクターは誰だろう?と作品を知るきっかけにもなってほしいんです。なので、ちゃんと作品を理解しより良いグッズを出す、ということにも気をつけています。
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大和:
アニメは基本的に1クール3ヵ月で一旦終わることが決まっているんですよね。『WIND BREAKER』は来年Season 2の放送がありますが、その間、約1年は放送がない。我々アニメ本編を作るチームが今お客様に対して新しく提供できることはあまりないんです。先ほど松浦さんがおっしゃったように、そういう時にも宣伝的な役割を担い、世の中に『WIND BREAKER』を広げてくれるのがグッズやコラボなので、そこでの反響がすごく大事で。来期の放送まで繫いでくれて、本当にありがたいです。
お互いに任せつつ、ワンチームで同じゴールを目指す
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松浦さんは、大和さんのお仕事を見ていてどう感じていますか?
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松浦:
本当に大変そうだなと思います。調整役とご自身でおっしゃっていましたけど、社外だけでなく、私たちライツMD部とアニメ制作サイドとの調整もしていただいて。商品化として必要な素材の手配をよくお願いするのですが、アニメの制作サイドからするとタイミングが早すぎたり、すぐにはできなかったりもしますよね。大和さんは我々やほかの部署からの要望を聞きつつ、でもアニメの制作状況的に今はそれよりもこっちが大事だな……という判断をし続けていて。常に一人で5つぐらいお皿を回している感じだと思います(笑)。
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大和:
(笑)。優先順位をどうしようかなと常に考えている感じではありますね。いつも待たせてしまってすみません。
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松浦:
いえいえ! もちろん事情はわかっているので。
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松浦さんも外部の会社さんとのスケジュールをパズルのように組み立てて、大和さんも5つのお皿を抱えて……シビアなお仕事ですね。
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松浦:
部署が隣同士なので「どうしましょう?」とか「助けてほしい!」とかよく話しています。
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大和:
よくお互いの席に行って話しますよね。
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それができると一番いいですよね。何か1つの作品を世に出す時は、お二人の部署だけでなく、社内の他部署との連携が大事になると思うのですが、そのあたりの大変さはありますか?
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松浦:
社内の連携面では、編集部の平岡さんや営業部の米野さん含め、すごく相談しやすい雰囲気があるんです。皆さん仕事が早くて、協力的で、お互いの部署へのリスペクトもある。社風なのかもしれないですね。すごく恵まれているなと思います。
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大和:
よくわかります! 基本的にワンチームというか。同じゴールに向かって、お互いの仕事をしつつ、一緒に盛り上げていこう、と思っている人たちが集まっているなと思います。ありがたい環境でやらせていただいていますね。
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平岡さんと米野さんの対談でもまさに同じようなお話が出ました。「チームなので、目指しているところは同じ」で、任せるところは任せる、と。
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松浦:
いい塩梅でお互いに任せられていますよね。だからプロジェクトが大きくなった時にも、耐えられるのかなと。
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大和:
確かに。大きくなると、全部を自分がどうにかしなければ、ではやれないですからね。
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松浦:
任せられる相手が社内のどの部署にもいるというのは、すごく安心です。
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最後に、この仕事をするうえで特に大切にしていることは何ですか?
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大和:
難しいですが……人へのリスペクトですかね。お付き合いする方が本当に多いので、一緒にお仕事をしていい関係が築ければ、次の作品、次の企画にどんどん広がっていく。とにかく人付き合いを大事にしていきたいです。電話での話し方とか、メールの口調一つで結構印象は変わるので。「この人、仕事しやすいな」という印象を与えられる人でいたいなと思います。
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どういったことに気をつければいいのでしょう。
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大和:
いやあ、結構イライラしちゃう時もあるので(笑)、やりきれているかどうかは自信がないんですが。忙しくて冷静になれない時は、仕事を全部放って1回リフレッシュしに行くタイプです。その勢いのまま連絡したりはしないように、と。
松浦:
ちゃんとそれができるのがすごいです……。私は、このお仕事はアニメ放送開始とか展覧会が始まるとか、大きな花火に向かって仕掛けていくイメージなんですよね。例えて言うなら「学園祭の前日」を毎日続けている感じ。そしてそれがずっと終わらない(笑)。なので、「やらされている」と思った瞬間に忙しいことがつらくなってしまうので、目の前にある仕事を楽しむことを、心がけています。……大変だという話ばかりしてきちゃいましたが、大丈夫ですかね? この会社には行きたくないと思われるかも。
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大和:
なんかつらそう、と。
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松浦:
なので、締め切りでヒリヒリしたりすることも含めて、楽しむことが大事です。あと、頑張れば頑張るほど人がハッピーになる仕事だと思うんですよね。グッズがたくさん出ればファンの方は喜んでくれます。ちょっと落ち込んだ時は、売り場に行ってファンの方が喜んでいるところをこっそり見て、やる気を出したりしています。……少し良いことも言えた気がします。
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大和:
はい、前向きなことを言っていただきました(笑)。アニメやグッズ、もっと広くいってしまえばエンターテイメントって生活において必要不可欠なものではありませんが、それでもたくさんの人たちがいつも展開を心待ちにしてくださり、貴重な時間とお金を費やしてくださっています。本当に嬉しいことです。ファンの方々に『WIND BREAKER』を楽しんでいただけるように、これからも我々ができる仕事を精一杯やって、作品を盛り上げていきたいです。